ニューズレター第17号(2010年3月23日発行)より抜粋
「第16回研修会を終えて」   研修委員会
文責 中山 ヒサ子
 去る10月18日(日)第16回支部研修会が北海道医療大学札幌サテライトキャンパスにて行われた。参加者は78名(内学生1名)であった。
 一般演題においては田口氏には集団といえども8名なので全体的な記述だけでなく個人に焦点を当てても良いのでは、中本氏には一人の対象者の変化を詳細に追っているが、”黒田節”という一つの曲をどのようにそれぞれの局面で扱っていったか、また川村氏は演劇と音楽とコラボレーションであったが、音楽療法なのだから音楽から演劇を生み出すやりかたなど音楽をメインにおきたいとの意見が出された。なお演者は時間内でポイントをおさえた発表をすることを心がけて頂きたい。
 越智事務局長は、学会の現状の説明と本部事務局の仕事内容など普段お聞きできないことのお話で興味深かった。
 ミニレクチャーでは研究の進め方について、客観的・主観的評価についてなど、基本のポイントが盛られている講義であった。
 教育講演の大槻先生は、言葉の障害から見た脳の仕組みについて難易度の高い事柄を非常にわかりやすくお話してくださり、大変有意義であった。音楽能力に関する高次機能障害の話もあり脳の可塑性のことや動かさないと衰えることなど具体的なお話で、会員のレポートにおいても好評の感想が多く寄せられている。
 シンポジウムはそれぞれ内容のある発表であったが、もっと質疑応答の時間をとり本格的なシンポジウムにしたいと会員からの意見が多く出ていた。おわりに今回初めて指定発言としてまとめのコメントがあり、今後のシンポジウムの形態が更に充実していくことを目指したいと考える。

リレーコラム 『?』と『!』
<音楽療法士> 工藤 麻子

 「どんな所にも『?』(クエスチョン)=不思議な事はある。これ何だろう?あれ何だろう?それなんだろう?いつも『?しかないんです。その答えを見つけた時、たまに『!』(感嘆符)になるけど『?』の方が多い」
これは、童謡「ぞうさん」の作詞者であり100歳にしてなお創作活動を続ける詩人、まどみちおさんの言葉です。この言葉を聞いた時、まさに音楽療法にも当てはまると思いました。音楽療法にも常に『?』がつきもので、対象者はどんな方だろう?どのような曲を好むのか?という事から始まり、セッションにおいては、なぜ今の反応が出たのだろう?テンポによる反応?伴奏?調?などなど『?』は果てしなく続きます。

 私が自分でセッションを始めた頃は、曲を覚える事やセッションの流れを考えることに精一杯で『?』を持つ余裕すらなかったように思います。そんなある日、セラピストの大先輩から「まず10年やってごらん。そうしたら今とは何かが変わるから」というアドバイスをいただきました。
気の遠くなるような年数で、10年間音楽療法を続けている自分の姿も想像できませんでした。ですがあっという間に月日は流れ、気がつけば10年が経っていました。果たして何が変わったのだろう?と考えてみると思うところは多々ありますが、その一つに『?』が増えた事があげられます。音楽療法と出会った当初の『?』は何がわからないかがわからないという事でした。勉強していけば音楽療法とは何かがきっと理解できるのだろうと思っておりましたが、現実は大違い。質こそ違えど『?』がどんどん増えておりますが、対象者の方々にも『?』が多く驚いております。「ゆきむしは突然どこから出てくるんだろう?」「一富士・二鷹・三なすびていうけど何でなすびなの?」など普段はとても楽しいものであると同時に、対象者の完成の素晴らしさを感じたり、色々な事を教えていただける大変貴重な場であります。このような機会を与えて下さる施設や対象者に感謝すると共に、私も音楽療法に参加して良かった、充実した時間だったと感じていただけるよう日々、研鑽を積まなくてはと思っております。
 これからも『?』との付き合いは長く続くと思いますが、『?』なくして進歩なしという気持ちで『!』を一つでも多く見つけるべく模索していきたいと思います。


北海道支部第16回研修会のご案内です

日時平成22年5月16日(日)10:00〜16:00
場所北海道医療大学札幌サテライトキャンバス
     (札幌市中央区北4条西5丁目 アスティ45 12F)

プログラム(予定)
10:00〜11:30 一般演題
11:30〜12:00 医学ミニレクチュア(久村評議員)
13:00〜14:30 平成22年度日本音楽療法学会北海道支部総会
14:30〜15:30 教育講演:「障がい児への音楽療法
                 〜自閉症児を中心に〜」
15:30〜16:00 レポート作成

研修会費 会員:2,500円 学生会員1,000円
        非会員:4,000円 学生:2,000円(学生書提示)

○研修会および支部総会の参加申し込みについて:参加申し込みの締切りは5月10日(金)です。必ず申し込みをお願い致します。
○演題募集について:
一般演題抄録の締め切りは4月16日(金)です
・必ず簡易書留にて事務局まで送付してください。
・抄録の書式については、対象者および目的・方法・経過および結果・考察の形式で、A4用紙1枚に10.5ポイントで48文字x40行でまとめてください。詳しくは音楽療法士規則P11〜12の『事例研究レポートの作成要領書式』を参照ください。但し、未発表のものとします。
・事例研究に関わる同意書・誓約書を必ず作成してください。同意書は各自で保管し、誓約書のみを提出してください。書式については事務局にお問い合わせください。(電話011-387-1209安藤)

日本音楽療法学会北海道支部事務局
【住所】 〒062-0922
札幌市豊平区中の島2条1丁目3-25 カムオンビル

ニューズレター第16号(2009年8月25日発行)
ニューズレター第18号(2010年8月27日発行)

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